考える技術・書く技術

たまには故きを温めてみよう。

考える技術・書く技術 (講談社現代新書)

考える技術・書く技術 (講談社現代新書)

1973に書かれた本。インターネットどころかパソコンもないので、書籍・雑誌をカードに書き出してKJ法などで整理するのが中心となる。当時の手法を個別に取り上げて現在は通用しないなどと批判するのは無意味なわけで、それらの手法が選ばれた背景について少し掘り下げてみよう。


著者が江戸文学専攻ということもあるだろうが、主要情報源として書籍について述べられている。一部の職業をのぞけば、当時一般人が入手可能かつ比較的まとまった情報源となれば、やはり書籍に頼らざるを得なかっただろう。地方だとそれこそ書店にならぶ刊行物と、近隣の図書館が生命線となる。思うに、当時は書籍の希少価値が高かったのではないか。すると書籍を「精読」しないともったいない、ということになる。


本書ではこのために、ラインマーカを使う方法と、カードに書き出して整理する方法が紹介されている。内容は特に目新しいものではないが(当たり前だ)、貴重な情報源を確実に読解しそれを整理再構成してアウトプットするための苦心が見て取れる。要するに情報源の価値や入手コストにあわせて、それにふさわしいリソース投入をする必要があるということだろう。


現在では情報源の価値も、入手コスト、整理コストも全く違うし、これからさらに変化していくと思われる。それらのバランスをふまえて「考える技術・書く技術」が成り立つということだと考えると、確立したと思っているスタイルも日々見直していく必要があるのだろう。


ちなみにバーバラ・ミントの同名の著書「考える技術・書く技術(日本語改訂版)」は1999年、原著は1992年らしい。

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則

考える技術・書く技術―問題解決力を伸ばすピラミッド原則